第 5 回

[1] [2] [3] [4]
[5] [6] [7] [8]
[9] [10] [11] [12]
[13] [14] [15] [16]
[17] [18] [19] [20]
[21] [22] [23] [24]
[25] [26] [27] [28]
[29] [30] [31] [32]
[33] [34] [35]

3. キューダ さん
4 組のペアからなる 8 枚のカードを使って,二人で神経衰弱の勝負をします。両者とも「最善手」を取ったときの
(先手勝ちの確率):(引き分けの確率):(後手勝ちの確率)
を最も簡単な整数の比で答えてください。「最善手」とは,最終的により多くのカードが手に入るような手とします。

なお,神経衰弱とは
  1. カードをよくかきまぜ,うら向きにふせて「場」にならべる。
  2. 手番の人が,「場」のカードを 1 枚ずつ 2 枚めくる。表にしたカードは相手にも見せる。
  3. その表にしたカードがペアだったら,この 2 枚のカードを「場」から「手元」に持ってきて自分のものにし,2. にもどる。ペアでなかった場合は,そのカードを再びひっくり返してうら向きにし,手番を代えて 2. にもどる。
  4. 「場」のカードがすべてなくなったら終了で,「手元」にあるカードの枚数が多い方が勝ち。
というゲームですが,次の特別ルールを課します。
  • 1 枚目のカードをめくるとき
    それまでの経過からペアになるものが分かっていれば,そのペアのカードをめくり,ただちに手に入れる。ペアになるものがないならば,必ず未確認のカードをめくる。
  • 2 枚目のカードをめくるとき
    1 枚目にめくったカードが確認済みのカードのペアだったら,2 枚目のカードはそのペアのカードをめくり,ただちに手に入れる。
この条件の下で,2 組 (4 枚) のカードで勝負を行った場合,先手勝ち,後手勝ちの確率は,それぞれ 1/3,2/3 なので,この問題の解答形式にしたがうと 1:0:2
また,3 組の場合はそれぞれ 7/15,8/15 なので,7:0:8 となります。
いずれも後手番が有利ですが,4 組の場合もやっぱり後手有利?

(やっぱり後手有利?)
解説

場にいくつかのカードが残っている状態からそれがなくなるまで,どのような状態へどのような確率で変移していくかを考える。
【ここで使う表記について】
[ ] 内に,手元と場のカードについての情報を以下のルールで記す。[ ] の前の数はその状態になる確率を表し,[ ] 内の先頭の+は省略する。

[(+,−) (数) (+,−) (アルファベット,?)]
  • (数) とその直前の符号
    手元のカードの枚数の差。
    "0" のときは (場に何もない場合を除いて) 省略。
    符号については,基準としている人の方が多い場合は+。

  • (アルファベット,?) とその直前の符号
    場に残っているカードを表し,それぞれの記号の意味は
      小文字のアルファベット : うら返しになっている既知のカード
      大文字のアルファベット : 手番の人がめくっているカード
      ? : まだめくられていない未知のカード
    同じアルファベット(大文字小文字は区別しない)はペア。
    符号については,基準としている人に手番がある場合は+,相手に移っている場合は−とする。
    各カードに対するアルファベットの割り当ては,ペア,非ペア関係が確認できる範囲で適当につけかえている。
例えば,[abA?????] は場に 8 枚のカードがあり,そのうち 2 枚はそれまでのプレイで判明していて,手番の人が 1 枚だけめくった状態を表す。そして,そのめくったカードは,判明しているカードの一つとペアである ([abA?????] と [abB?????] を同一視する)。また,両プレイヤーの手元にあるカードの枚数に差はない。
(A) 場にカードが 4 枚残っていて,そのうち 2 枚が判明している状態
[ab??]=[4]

(B) 場にカードが 4 枚残っていて,そのうち 1 枚が判明している状態
[a???]=1/3[aA??]+2/3[aB??]
=1/3[4]+2/3×(1/2[aBB?]+1/2[aBA?])
=1/3[4]+2/3×(1/2[4]+1/2[−4])
=2/3[4]+1/3[−4]

ここで,[aB??] のあと,既知のカードをめくる戦略と,未知のカードをめくる戦略が考えられるが,後者を選択する。仮に,既知のカードをめくって手番を相手に回すと,[−ab??] となり,残りすべてのカードを相手に取られてしまう。したがって,未知のカードをめくるのが最善手となる。
(E) の [abC???],(K) の [abcD????] においても同様の理由でこの戦略を用いる。

(C) 場にカードが 4 枚残っていて,すべて未確認の状態
[????]=[A???]=1/3[AA??]+2/3[AB??]
=1/3[4]+2/3[−ab??]=1/3[4]+2/3[−4]

(F) 場にカードが 6 枚残っていて,そのうち 3 枚が判明している状態
[abc???]=[6]

(G) 場にカードが 6 枚残っていて,そのうち 2 枚が判明している状態
[ab????]=2/4[abA???]+2/4[abC???]
=2/4[2+a???]+2/4×(1/3[abCC??]+2/3[abCA??])
=2/4[2+a???]+2/4×(1/3[2+ab??]+2/3[−2−ab??])
=2/4×(2/3[6]+1/3[−2])+2/4×(1/3[6]+2/3[−6])
=1/2[6]+1/6[−2]+1/3[−6]

(H) 場にカードが 6 枚残っていて,そのうち 1 枚が判明している状態
[a?????]=1/5[aA????]+4/5[aB????]
第 2 項は戦略により結果が異なる。

(H-1) 未知のカードをめくる場合
[aB????] → 1/4[aBB???]+1/4[aBA???]+2/4[aBC???]
=1/4[2+a???]+1/4[−2−a???]+2/4[−abc???]
=1/4×(2/3[6]+1/3[−2])+1/4×(2/3[−6]+1/3[2])+2/4[−6]
=1/6[6]+1/12[2]+1/12[−2]+2/3[−6]

(H-2) 既知のカードをめくる場合
[aB????] → [AB????]=[−ab????]
=1/3[6]+1/6[2]+1/2[−6]

よって,(H-2)が最善手となる。

[a?????]=1/5[aA????]+4/5[aB????]
1/5[2+????]+4/5[AB????]
=1/5×(1/3[6]+2/3[−2])+4/5×(1/3[6]+1/6[2]+1/2[−6])
=5/15[6]+2/15[2]+2/15[−2]+6/15[−6]

(I) 場にカードが 6 枚残っていて,すべて未確認の状態
[??????]=[A?????]
=1/5[AA????]+4/5[AB????]
1/5[2+????]+4/5[AB????] ← この式は (H) と同様
=5/15[6]+2/15[2]+2/15[−2]+6/15[−6]

(J) 場にカードが 8 枚残っていて,そのうち 4 枚が判明している状態
[abcd????]=[8]

(K) 場にカードが 8 枚残っていて,そのうち 3 枚が判明している状態
[abc?????]=3/5[abcA????]+2/5[abcD????]
=3/5[2+ab????]+2/5×(1/4[abcDD???]+3/4[abcDA???])
=3/5[2+ab????]+2/5×(1/4[2+abc???]+3/4[−2−abc???])
=3/5×(1/2[8]+1/6[0]+1/3[−4])+2/5×(1/4[8]+3/4[−8])
=4/10[8]+1/10[0]+2/10[−4]+3/10[−8]

(L) 場にカードが 8 枚残っていて,そのうち 2 枚が判明している状態
[ab??????]=2/6[abA?????]+4/6[abC?????]
第 2 項は戦略により結果が異なる。

(L-1) 未知のカードをめくる場合
[abC?????]
→ 1/5[abCC????]+2/5[abCA????]+2/5[abCD????]
=1/5[2+ab????]+2/5[−2−ab????]+2/5[−8]
=1/5×(1/2[8]+1/6[0]+1/3[−4])+2/5×(1/3[4]+1/6[0]+1/2[−8])+2/5[−8]
=3/30[8]+4/30[4]+3/30[0]+2/30[−4]+18/30[−8]

(L-2) 既知のカードをめくる場合
[abC?????] → [−abc?????]
=9/30[8]+6/30[4]+3/30[0]+0/30[−4]+12/30[−8]

よって,(L-2)が最善手となる。

[ab??????]=2/6[abA?????]+4/6[abC?????]
=2/6[2+a?????]+4/6[−abc?????]
=2/6×(5/15[8]+2/15[4]+2/15[0]+6/15[−4])+4/6×(3/10[8]+2/10[4]+1/10[0]+4/10[−8])
=14/45[8]+8/45[4]+5/45[0]+6/45[−4]+12/45[−8]

(M) 場にカードが 8 枚残っていて,すべて未確認の状態
[????????]=[A???????]
=1/7[AA??????]+6/7[AB??????]
=1/7[2+??????]+6/7[−ab??????]
=1/7×(5/15[8]+2/15[4]+2/15[0]+6/15[−4])+6/7×(12/45[8]+6/45[4]+5/45[0]+8/45[−4]+14/45[−8])
=29/105[8]+14/105[4]+12/105[0]+22/105[−4]+28/105[−8]

したがって,
先手勝ちの確率=29/105+14/105=43/105
引き分けの確率=12/105
後手勝ちの確率=22/105+28/105=50/105

すなわち,答えは 43:12:50 である。


Copyright © 1998-2008 算数トライアスロン All rights reserved.